ケイとほのかは、丁度一歳違いの兄妹であった。そして、二人して容姿端麗であったため、地元の小学校、中学校では、美形兄妹として有名だった。
また、十歳でありながら、五歳当時の知能のまま小学校にあがった為、学校について行くのが必死だったケイを、家庭、学校問わず、暇があったら、ほのかが出向いてケイをサポートしていた。
そのせいで、逆にほのかの方が姉であるかの様に見られる事もしばしばあった。ただ、その様に見える背景には、もう一つの要因があった。
それは、ほのかが感情を表に出さない子だったので、ひどく落ち着いて見えていたのだった。まるでそう、正に今のケイの様な、人形の様に無表情な女の子だった。
繰り返しにはなるが、ケイは、とうとう最後まで、ほのかの笑顔を見る事はなかった。ほのかが亡くなるまでの約五年間、いつもそばにいながらケイは、ほのかが嬉しそうにしている姿を見た事がなかった。