「だって、生まれて初めての恋だよ。嬉しいんだよ?初めて男の子を好きになって…
私、ケイ君の女の子になりたくても、ケイ君の思い出の傷の一部になんか、なりたくないよっ!」
未恋は、ケイにそう言うと、涙を流しながらケイの元から走り去っていった。


-僕の刻んできた物は、僕の思い出の一部…つまりは、元々僕の物?-


独り立ち尽くすケイは、今まで刻んできた左腕の傷達を、一つ一つ丁寧に、目を閉じながらたどっていった。そして最後にたどり着いた傷…


-この、傷…は?-


明らかに、今までとは切り口の違う、その、傷。それはいつも、ケイがロマンス・カットをする時に使っているナイフとは違う切り口であった。


…そして、その傷が何を意味しているのかを、ケイは思い出した。