自分達の恋は叶わなかったけれども、せめて、お互いの影だけでも、添い遂げさせようと。どちらかと言えば暗い、揺らめく火によって映し出されるその、夢か現か分からないぐらい、その恋のように淡く映し出されるその影同士を…-
そこまで語り終えた未恋は、急に何ともいえない不安に襲われた。そして、それが間を置かず次の瞬間訪れようとは、未恋は思っても見なかった。よくよく見れば、この日の月も満月であった。その月が一瞬、黒い雲で覆われる-
「…君の想いには、答えられないと思う。」
再び姿を現した満月によって、二人の顔が照らし出される。ケイは相変わらず、人形の様に白い、無表情な顔であったが、この時の未恋は、それ以上だったかもしれない。
「僕は、この左腕に様々な失恋(きず)達を刻んできたから分かる。君は今日、僕に会いに来てくれたんだね。でもごめん、僕は君を、君だけは恋愛の対象としてはとらえることは出来ない…」
そこまで語り終えた未恋は、急に何ともいえない不安に襲われた。そして、それが間を置かず次の瞬間訪れようとは、未恋は思っても見なかった。よくよく見れば、この日の月も満月であった。その月が一瞬、黒い雲で覆われる-
「…君の想いには、答えられないと思う。」
再び姿を現した満月によって、二人の顔が照らし出される。ケイは相変わらず、人形の様に白い、無表情な顔であったが、この時の未恋は、それ以上だったかもしれない。
「僕は、この左腕に様々な失恋(きず)達を刻んできたから分かる。君は今日、僕に会いに来てくれたんだね。でもごめん、僕は君を、君だけは恋愛の対象としてはとらえることは出来ない…」


