Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人 Snow Again―

ところで、この大臣には非常に美しい娘がいて、中宮(皇后)になる予定になっていたの。
でも、この娘には、他に好きな人がいて、それが、この大臣に仕える、この娘の護衛を任されていた者達の中の、とあるひとりの男性だったの。
…二人は相思相愛だった。でも、その恋が許されるどころか、逢う事さえ、満月の夜の影絵の会の時、警備に対する報告だけはその娘がいる間(部屋)でする義務になっていたのでその時ぐらい。
ましてや、手と手を触れ合う事など、常にその娘の側にいる大臣の監視の元、叶うはずもなかったわ。
…そして二人の別れの時が来た。娘が朝廷にあがる前日の満月の夜。二人の出逢える最後の影絵の会の夜。どちらが先か、自然に二人は、互いの後ろに灯された、揺らめく火の明かりによって床に映し出された自分達の影を、大臣に気づかれない様に何度も、何度も重ね合わせたの。