…そのまましばらく、優子は夢色のシャボンのカーテンに包まれていたが、一つ、また一つとそのシャボン玉がはじけていく内に、再び現実の世界に引き戻されていった。と、同時に、自分の目の前に、見知らぬ少年が立っている事に気付いた…


「きゃあっ!」
思わず優子はのけぞりながら叫んでしまった。そして、続けていった。
「あ、あなた誰よ!」
「…君、今恋をしているの?」
その少年は、優子の質問の答えとは別に、逆に質問をしてきた。
「なっ、何よいきなり!それより私の質問を無視しないでよ、あなた一体…」
と、そこまで言いかけた優子はドキッとした。よくみれば、余りにも美少年だったからである。サラサラのショートカットの黒髪、女の子と間違えそうなぐらいの白い肌とその容姿、さらに左目の泣きぼくろが妖しいまでの美しさを際立たせている。
「僕?僕の名前は夕霧ケイ。…隣りに座ってもいい?」