ひろに勧められるまま、優子は、ただひたすらシャボン玉を大量生産し続けた。たくさんのシャボン玉に囲まれながら、隣りに立つひろの言葉に耳を傾けていた。
無垢なたくさんのシャボン玉に包まれて、悲しみは天に昇って行くんだ、そして、それはいつしか浄化され、はじけ、君の上に幸せの雨となって降り注ぐんだと。
それ以来、シャボン玉は、優子にとっての癒しのアイテムであり続けた。それから六年の月日が流れて二人は高校生になっていた。そして最近、ようやく気付いた自分の気持ち…


―ひろ君の事が好き―


でも、伝えたところで上手くいくのだろうか。一緒のクラスというだけで。それに、クラスの女子達の嫌な噂話。


―ひろ君が、他の高校の娘とできちゃっている―


そんな事、考えたくも無いわ!と思いながら優子は、嫌な現実世界をシャットアウトするかの様に、さらにたくさんのシャボン玉を作った。