彼女は、ここI市にある津婆妃(つばき)高校に通う二年生で、名を早坂麗華といった。腰まである長い髪を赤く染め、Tシャツにショートパンツ、腕にはシルバーピンクのバングル、そして白いブーツといった、いわゆるクール系カジュアルな服装をしている。
ところで、実は今、彼女は学校をサボっている最中であった。彼女は、遥か西の方からこの街に引っ越しして来たのだが、この街のにおいになじめず、いわゆる、ぐれてしまっていた。
何の楽しみも、何の目標もない毎日。そういう訳だからもちろん、学校をサボってぶらぶらしていても、彼女の心が満たされる事などなかった。
「何やねん、このモヤモヤ感は!何か、スッキリする事無いんかい!…うん?」
麗華は、横断歩道を渡り終えようとしていた、正にその時、前方に何かを発見した。
麗華の目の前の壁際に、雪の様に白い肌、まるで人形の様な美しい容姿をした、一人の少年が立っていた。