しかし実は、ほのかの遺書は合計すると、全部で本当は「三枚」あった。そして残りの一枚のありかとその内容とは…


「…いずれ僕の記憶から失われるであろう、ロマンス・カットの方法。
それを用いて、様々な女の子の初恋の傷を請け負う事によって、自ら壊してしまった、僕の記憶のかけらが修復できるであろう事。
そしてそれによって、無表情な人形の様になってしまった僕の中に、人としての感情が再び戻るであろう事…
要は、人形の様だったほのかが、人としての感情を手に入れた方法そのものだ。
もし病院に、僕あてに刑事が訪れたあの時、三枚目も手渡していたとしたら。
きっと僕のロマンス・カットの放浪の旅は、ほのかの事件が、社会に与えた影響の強さを懸念した刑事達によって、くい止められていたかもしれない。」


ケイは病院のベッドの上で、自身の感情が死んでいく中、三枚目の遺書だけは、なぜか異常な執着心によって、無意識に隠し持っていたのだった。