「ふふっ。今日当麻くんの家、ご両親いるんだよね?」


わかって言ったんだもーん。ちょっとイジワルしちゃった。


「あー……そうだった」


当麻くんは少し顔をしかめる。


やっと今、そのコトを思い出したみたい。


「お爺さんと香純さんに、あいさつして帰るね」


1階に下りるとふたりとも接客中だった。


お爺さんはカウンターで常連さんのお相手。


香純さんも、奥の席のお客さんとしゃべっていた。


ちょうど目が合ったお爺さんにだけ会釈して、お店を出た。


お爺さんは、いつも目を細めて、片手を上げてくれる。


そして「またいつでもおいで」って言ってくれるんだ。


……あの笑顔は、当麻くんにも似ていて、香純さんにも似ている。


ってコトで、お爺さんも昔はイケメンだったのかな?


今も、素敵に歳をとってはいるけどね。