して、首を河原に曝したようです。


「曝し首……ってやつですか?」


 ――ええ。ダンダラ模様の服を着せてから市中を引き回した後、河原で首を切ったそうです。


「その首を切られた人間は、一体何ていう名前だったんです?」


 ――今のところ、私の調査で分かったのが、今村武蔵介(むさしのすけ)浩文と綾田伊予丞(いよのじょう)次郎という二人の武者です。あなたの住んでらっしゃるマンションが建っている場所は元々河原で、相手方によって捕らえられた今村武蔵介と綾田伊予丞は首を切られたと。大勢の人間たちの前で見せしめにされたそうで……。


 俺は思わず背中が凍り付いた。


 自分の住んでいる場所が元々はそういった所であったことなど、不動産屋は知らせなかったからだ。


 それにあの鎧兜の武者や血の水などは霊の仕業によるものだと思われる。


 俺は小津原の語り草を聞きながら、背筋にスゥーと冷たいものが伝っていくのを感じた。


 つまり自分が囚(とら)われているのは地縛霊だということである。