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「和義」


「何?」


「何か、さっきからむせび声が聞こえてるんだけど」


「むせび声?」


「ええ。……ちょうど、このマンションのトイレのところ辺りから聞こえてて」


「聞き間違いじゃないの?」


「いや。あたし、こういうの絶対聞き逃さないのよ」


 里夏がそう言って、ベッドから起き上がり、トイレへと向かう。


 何せ1Kの狭い部屋だ。


 一応トイレと風呂場は別になっていたのだが、家賃が安く、建築時の設計なども大雑把だと思われた。


 俺はベッドの方から里夏を見つめる。


 夏用の黄色いワンピースを着て、茶色に染めていた髪をストレートで流しっぱなしにし