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「おはようございます」


「ああ、おはよう」


 俺は社のフロアに入ると、いつもの仕事場である企画部へと向かう。


 疲れた体を引き摺ったままだ。


 あの霊の啜り泣きに、血の水は一体何だったんだろう……?


 俺自身、いぶかしまざるを得なかった。


 やはりあのマンションは霊が取り付いていて、霊媒師のお払いぐらいじゃ収まらないと思い始めている。


 俺は出社してすぐにパソコンを立ち上げると、合間に給湯室でコーヒーを淹れた。


 俺の勤務している会社は、基本的にコーヒーや紅茶は飲み放題だ。


 お茶代は給料から天引きされているので、その分飲まないと損なのだった。


 俺はコーヒーを淹れ、熱かったので氷を浮かべて、スプーンで掻き回す。


 給湯室を出て、パソコンを立ち上げているデスクへと向かい椅子に座ると、キーを叩き