10
「今、霊を封じました」


「ありがとうございます」


 俺は小津原に礼を言い、その場でお払いに掛かった料金三万円を支払う。


 小津原が数珠を仕舞い込み、俺から現金を受け取ると、


「また何かございましたら、お呼びください。いつでも参りますので」


 と言った。


「分かりました」


 俺が頭を下げると、小津原が、


「では失礼いたします」


 と言って、部屋出入り口に向け歩き出した。


 俺はその後ろ姿を見送る。


 さすがに加齢しているので、腰が曲がっていた。