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 俺は里夏も冷たい飲み物を飲みたがっていると思ったので、自販機で二人分のアイソトニックウオーターを買い込み、パラソルへと戻った。


 ビーチサンダル越しにでも足の裏に暑さが伝わってくる。


 俺自身、夏と冬のどちらがいいと訊かれたら、迷わず夏と答えるだろう。


 それだけ暑さには慣れているのだった。
 

「冷えてるから飲みな」


 俺がそう言って、里夏に買っていたドリンクを渡す。


「ああ、ありがとう」


 彼女は言葉少なめにそう言い、嵌めていたサングラスを外してテーブルに置き、缶のプルトップを捻り開けて飲み始める。


 ゴクゴクという音を立てて、喉奥へ幾分甘めの液体を流し込む。


 清涼飲料水で、イオンが入っているので、体の疲れには断然いい。


 俺も缶を口に付けて飲んでいると、里夏が、