俺が動揺している様子をまるで気に留めずに、パラソル下で椅子に座っている。


 いつの間にかペットボトルの水は生温くなってしまったようだが、里夏は気にしていないようで、温めの水を飲み続けた。


 そして飲み終わってから、ボトルにキャップをし、テーブルに置く。


 体は相変わらず乾ききっていたようだが、里夏は平気らしい。


 俺がデッキチェアーに座り、改めて今しがた起きた事態を考え続ける。


 確かに今、足首を見ていると、何かが巻き付いた跡がわずかに残っていた。


 だが考えていくうちに、これは別段気に留めるほどのことでもないだろうと思われる。


 あくまで一時的なものに過ぎないからだ。


 俺は右足首と左足首を見つめながら、何かに締め付けられたときに生じる、赤みがかった痣(あざ)を見つめる。


 掴まれた部分に赤みが差して残っていたのだが、俺自身、その痣をこれ以上深くは気にすることはない。


 何かが巻き付いたときに出来る痣は、人間の治癒力で自然と消えていく。