俺はホラーが結構好きで、昔――特に学生時代だが――、心霊スポットに悪ふざけで遊びにいったことがあった。


 確かに霊が憑依(ひょうい)すると危ない。


 取り付くという言葉がある通り、俺はその手の場所に行く前は必ず霊媒師にお払いをしてもらってから行っていた。


 特に東北にある廃村など、誰も寄り付かない山奥にあって、不気味な感じで、俺も行くたびに怖いものを目にしたことがある。


 だが社会人になってから、そういった場所に行くことはほとんどなくなった。


 それに俺自身、以前ほどホラー小説やホラー漫画など読まなくなったし、心霊ビデオなども見なくなってきている。


 里夏はその点、未だにそういったものと接し続けているらしい。


 俺はそれを彼女の口から聞いて知っている。


 大のホラー好きで、いろんな媒体を使って、その手の話題を仕入れることも怠(おこた)りないようだった。


 社の秘書課で広報の女性たちが話すネタなど、毎晩のようにオンエアーされている連続ドラマの話か、最近読んだ本や雑誌などの話になるらしい。