死霊むせび泣く声

 高村は言い返せずにいる。


 確かに関東近辺のディナー店でステーキのセットものを三人分と、豚カツのセットを頼めば優に二万円以上掛かるのだ。


 俺たちは絶えず松岡の態度を窺っていたのだが、全く抵抗がないらしい。


 俺は久しぶりにステーキ肉を食べた。


 サーロインで、一枚が四千円ぐらいする。


 俺も高村も磯野も、分厚い肉を切っては口へと運んだ。


 ゆっくりと食事の時間が過ぎていく。


 確かに松岡は俺たちを慰労してくれているのだ。


 それは分かる。


 ただ、一食するにしてはちょっと値段が高い。


 俺たちもあの時食べた肉の味は正直覚えていなかった。


 肉本体に分厚い脂身が付いていたというぐらいで。