ブーンという音がして、俺たちは一緒にドライブに出かける。


 この街の近隣には海が見える場所があって、俺は暗黙裡にそこへと車を進めた。


 街は賑やかだ。


 俺も里夏も夏を楽しめている。


 お互いいい年をしていても、やはりこの季節は楽しい。


 彼女の横顔は二十代ぐらいに見える。
 

 俺は車を運転しながら、


「今から海行くぞ」


 と言った。


「ええ、お願い」


 里夏がそう返す。


 さっきまでの恐怖心は一時的になくなっていた。


 スゥーと背筋が凍り付く感覚はもうない。