別にそういったものが横行しないと思っていたからだ。


 心霊など、テレビやその手のDVDで見る限りでは、ウソに近いと思うのが本音なのだった。


 俺は普段から街の中にある会社でサラリーマンをやっている。


 里夏はそこの会社のOLで、俺たちは同じ年に入社してからすぐに知り合った。


 彼女は都内にある二流半ぐらいの四年制大学を出た後、入社してきた。


 俺も都内にある有名私大を卒業し、新卒で入ってきたのだ。


 俺も里夏もこの就職難の時代にラッキーだった。


 何せ働き口があるので。


 考えてみれば俺の同級生でも、真面目に就活をやらなかった連中は悲惨だ。


 確かにそいつらも出来は悪くなかったのだが、内定を取れなかった以上、3K労働のようなものしかないようだった。


 俺はちょうど三十歳で、今年の秋、三十一になる。


 里夏もちょうど同じ年で、付き合うには絶好なのだった。