死霊むせび泣く声

たが……。

 
 俺は里夏に言った。


「やっぱ武者の霊なんて見間違いだよ」


「そうかな?だったらいいんだけど」


 彼女が頷く。


 俺が、


「今から軽くドライブして、外で飯でも食おうよ」


 と言った。


「そうね。ランチに何か食べましょ」


 里夏がゆっくりと頷いてみせる。


 俺たちは停めていた車のロックを解除し、乗り込んだ。


 相変わらず蒸すような熱が車内に滞留している。


 俺は車のエンジンを掛けた。