死霊むせび泣く声

「未だに前時代の名残で曰くつき物件とかあるんでしょ?」


「まあ、ないことはないと思いますが、あればまず我々不動産屋が調査に回りますから、そういった部屋は一切お貸しいたしません」


「そうですか。……じゃあ、僕の見間違いかな?」


「ええ。気になさることはないですよ」


 岡村が軽く笑って、その後、


「我々も新規の顧客をたくさん抱え込んでますから、秋川さんばかりにお時間を割くわけにはいきません」


 と言った。


 その顔にウソはないだろうと思われる。


 俺が、


「じゃあまた何かありましたら来ます」


 と言って、店出入り口に向け歩いていく。


 頭を下げた岡村が一瞬、笑顔ではなく、ニヤリと不気味な感じで笑ったのが気に掛かっ