死霊むせび泣く声

「落武者?」


「うん。ちょっと怖いでしょ?あたしもつい最近、ネットを通じて知ったんだけど」


「ネットなんて何でもありだろ?」


 俺は里夏の立てた説を言下(げんか)に否定した。


 だが、どうすれば俺の見た生首と、彼女が見てしまった赤黒い水に関して合理的な説明が付くだろうか……?


 俺自身、納得が行かない。


 それに都市伝説となれば、信憑性(しんぴょうせい)は薄いにしても、やはり怖い。


 俺はあの物件に纏(まつ)わる曰くが何かを突き止めたかった。
 

 やはり自分が住んでいる場所である。


 夏場で怖い話がやたらと盛り上がるのは頷けるのだが、やはりそれが自分の住居にまで染み付いていると思うと、恐怖心がドッと出てしまう。


 俺はハンドルを握った手に、思わず汗が浮き出てくるのを感じる。


 同時に背筋がスゥーと凍り付くのを覚えた。