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「おいおい、変なものがあるぞ」


「変なもの?」


「ああ。こっち来てみろよ。生首が転がってるから」


 俺が一瞬目を逸(そ)らした瞬間、首は消えていて、いきなり自動で水が流れ出し、溜まっていた血も消えてしまう。


 里夏が来たときは、トイレが元通りになっていた。


 だが、血生臭い。


 これはついさっきまでそこに血液があったことを意味するものと思われた。


 俺が、


「変だな。さっきまで生首があったのに」


 と言うと、里夏が、


「驚かせないでよ。あたしも人間なんだし」


 と返し、眉間(みけん)に皺を寄せた。