23
 俺はその日、いつも通り出勤して、社の一階から企画部のフロアがある三階へと向かう。


 エレベーターを使わずに、一気に階段で上った。


 午前九時の一分前にフロア出入り口でタイムカードを通し、デスクに向け歩いていく。


「おはよう」


「ああ、おはよう」


 俺が仲間たちに声を掛けると、返事が返ってくる。


 パソコンを立ち上げて、メールボックスを開き、新着メールをチェックした。


 別に目立ったものは何も入っておらず、スパムばかりだった。


 迷惑メールフォルダーを空にして、俺はドキュメントの画面を開き、キーを叩き始める。


 外付けのUSBフラッシュメモリは差し込んだままにしていたので、俺は小まめにバックアップを取りながら、作っていた企画書の続きを打ち始めた。


 カツカツカツというキータッチ音と共に、新しい企画が出来上がる。


 部長の辛島は相変わらず週刊誌ばかり読んでいて、仕事らしい仕事はしない。