死霊むせび泣く声

 俺は着ていたワイシャツが汗だくで、気持ち悪かったのだが、家に帰り着くまでの辛抱と思い、歩き続ける。


 途中でコンビニに寄り、三百五十ミリリットル入りの冷たいミネラルウオーターを買った。


 飲むと渇きが癒される。


 喉奥が含んだアルコールでヒリヒリするような感覚を覚えていたのだ。


 俺はボトルの水をラッパ飲みしながら、自宅へと向かう。


 闇の中を歩きながら、秘かに怯えていた。


 またあの霊が取り付くのかと思うと。


 それに俺の周りで巻き起こる怪奇現象とは一体何が原因で起こっているのか……?


 見当が付かないのが本音だが、どうやらあの武者の霊が災いしているようだ。


 俺は自分に憑依している霊がかなり執拗なのを感じていた。


 ただ、これから先、引越しすることになればもうあの霊は現れないと思う。


 一連の怪奇現象もあの曰くつき物件から撤収すれば、収まるだろうぐらいに考えていた。