死霊むせび泣く声

「仕事で疲れてる?」


「そうね。どうしても広報ってなると、社の顔だし。気を遣うからね」


「じゃあ、今夜はゆっくり眠りな」


「もちろんよ。部屋に戻ったらすぐにシャワー浴びて、すぐに寝るわ」


 里夏がそう言い、店出入り口を抜けて歩き出す。


 外には灼熱の夜空が舞い降りてきている。


 俺は蒸し暑かったので、羽織っていた上着を脱いで、腕に掛けて歩いていく。


 里夏が途中の別れ道で、


「じゃあまたね」


 と言うと、俺が、


「ああ。またな」


 と返す。


 俺たちは各々自宅に向けて歩いていった。