19
 俺たちは街でも一番人通りが多い場所にあるショットバーに辿り着くと、俺がドアを引き開けた。


 ドアノブに付けてあった鈴がカランカランと鳴る。


 俺が先に里夏を入れ、後から自分が入っていった。


 店内には昼間の憂さを忘れさせてくれるような軽妙なジャズが流れていて、俺たちは入った瞬間から寛ぎ出す。


 カウンター席が空いていたので、そこに並んで座った。


「いらっしゃいませ」


 バーテンダーが声を掛けてきたので、俺が、


「ソルティードッグを一つ」


 とカクテルを注文する。


「あたしは、このボッシボールを一杯」


「甘めのお酒が好きなんだね?」