相手を怒らせないように、だ。


 すると辛島が、 


「もっと一般受けするような企画書作れ」


 と言って、週刊誌の中に付いているグラビアアイドルの袋とじをハサミで切り始めた。


 俺が、


「分かりました」


 と返し、デスクに向け、歩いていく。


 さすがに夏場なので、フロア内は冷房が利いている。


 寒いぐらいに。


 そして俺はデスクに戻ると、立ち上げていたパソコンに向かい、全く別の企画書を作り始めた。


 淡々としているのが、俺たち会社員の日常だ。


 何気に過ぎていくが、これが現実なのだった。