社の企画部フロアに戻って、給湯室でコーヒーを一杯淹れ、マシーンに向かう前に、喫煙コーナーへと行く。


 タバコを取り出して銜え込み、ジッポで先端に火を点(つ)け、燻(くゆ)らす。


 まだ昼休みだったので、ゆっくりとタバコを吸い続ける。


 確かにさっきの高村の言葉が気になった。


 俺は何か厄介なものに巻き込まれてるんじゃないかと思いながら、タバコを吸う。


 コーヒーはアイスで淹れていて、氷を数個浮かべていた。


 俺自身、ここで改めて心を落ち着けてみることが必要となっている。


 タバコの先端からは紫煙が上がっていて、髪の毛にタバコ臭さが移っても気にしない。


 普段から相当ニコチンに手を出しているからだ。


 やはりあの今村武蔵介と綾田伊予丞の怨霊が俺や、近所にいる人間たちに取り付いているのか……?


 俺はタバコを吸い終わると、灰皿に押し付けて揉み消す。


 そしてデスクに戻り、ネットに繋いで高村が言った例の事件に関し、調べ始める。