Faylay~しあわせの魔法

(それで母さんに戦い方を教えてくれって頼んだんだ)

弱いのは嫌だ。

強くなって、リディルを護るのだと。

アリアの教えは容赦なかったが、その分、強くなれたと思う。

リディルに『勇者になって護ってあげる』と約束し、ギルドに入ってからも、その基本があったからこそ最年少で候補生に上がれたのだ。

その後、フェイレイを追いかけるようにギルドの養成学校に入学したリディルと、また毎日共に過ごすようになった。

アリアの策略で同じ班にもなった。

そのときの任務で、フェイレイの危機をリディルが身体を張って救ってくれたこともあった。

(それで大怪我を)

生死に関わるものではなかったが、フェイレイはまた庇われたのだと情けなく思ったのだった。

護っているつもりが、護られているのは自分の方。

いつだってそうだった。

インカムを使った遠距離連携を取るようになったのはそれからだ。

リディルはもう前線には出さない。そうアリアに提案したのはフェイレイだった。

もう怪我をしないように、リディルを安全な場所に置いておきたかった。

(それで初めて喧嘩したんだっけ……)


『私を信頼してくれないの』

珍しくリディルが怒っていた。

『違う。もう危険な目に遭って欲しくないんだ!』

フェイレイも自分の気持ちを分かって欲しかった。

『私も、フェイを護りたいのに──』

後にも先にも、本気で怒鳴りあったのはあの一度きりだ。