薄暗く、太陽の位置も分からない塔の中では、時間の感覚がまったくない。
今が昼なのか夜なのか、何日か過ぎたのかそうでないのか、まったく分からないままひたすらに階段を上る。
何年かかるか分からない。
きっと途中で死んでしまう。
そんな伝説の一文が頭の中を過ぎった。
それを覚悟して『勇者』は塔を上っていった。
まだ見ぬ『姫』に、もしかしたら恋をしていたのかもしれないという『勇者』。
(そう、『恋』をしてたんだ)
あの嵐の夜、氾濫した川に流されていたリディルを助けたときから、ずっと。
周りの大人たちに酷く怯え、けれどフェイレイにだけは心を許してくれた人形のように愛らしい少女に、恋をしていた。
一人っ子でずっと護られる側だったフェイレイには、初めて庇護すべき対象に出会い、頼りにされることが嬉しかったのだ。
はじめは妹のように思っていた。
手を引けばおとなしくついてきて、笑顔を向ければ無表情の中にもちょっとした変化を見せてくれる、かわいい妹。
それがいつ『恋』に変わったのかなんて、分からないほどいつも傍にいた。
毎日一緒に手を繋いで外を歩いたし、一緒にベッドで眠ることもあった。
フェイレイがいじめっ子たちに殴られているのを、リディルが助けてくれたこともあった。
(あのとき、リディルも殴られて、頬が真っ赤に腫れて……)
リディルは泣かなかったのに、フェイレイが泣いていた。
大切な子に怪我をさせてしまったと。
今が昼なのか夜なのか、何日か過ぎたのかそうでないのか、まったく分からないままひたすらに階段を上る。
何年かかるか分からない。
きっと途中で死んでしまう。
そんな伝説の一文が頭の中を過ぎった。
それを覚悟して『勇者』は塔を上っていった。
まだ見ぬ『姫』に、もしかしたら恋をしていたのかもしれないという『勇者』。
(そう、『恋』をしてたんだ)
あの嵐の夜、氾濫した川に流されていたリディルを助けたときから、ずっと。
周りの大人たちに酷く怯え、けれどフェイレイにだけは心を許してくれた人形のように愛らしい少女に、恋をしていた。
一人っ子でずっと護られる側だったフェイレイには、初めて庇護すべき対象に出会い、頼りにされることが嬉しかったのだ。
はじめは妹のように思っていた。
手を引けばおとなしくついてきて、笑顔を向ければ無表情の中にもちょっとした変化を見せてくれる、かわいい妹。
それがいつ『恋』に変わったのかなんて、分からないほどいつも傍にいた。
毎日一緒に手を繋いで外を歩いたし、一緒にベッドで眠ることもあった。
フェイレイがいじめっ子たちに殴られているのを、リディルが助けてくれたこともあった。
(あのとき、リディルも殴られて、頬が真っ赤に腫れて……)
リディルは泣かなかったのに、フェイレイが泣いていた。
大切な子に怪我をさせてしまったと。


