「10年前になー……」

フェイレイは、昔を思い出すように目を閉じた。

遠い昔のようで、つい昨日のような出来事。

重苦しくたち込める暗雲と、ゴウゴウと耳を劈く嵐の音。海のように広がってしまった濁流。そして。

眼裏に焼きついているリディルの笑顔と涙を、ゆっくりと語りだした。