Faylay~しあわせの魔法

吸い込むだけで身体の水分が奪われていきそうな灼熱の空気。干からびた大地のように、フェイレイの喉もカラカラだ。

「リディル……」

乾いた唇から漏れる声も、掠れてしまっている。

「行かなくちゃ……」

そう呟くも、身体が重い。

休まない方が良かったのかもしれない。横たわった身体に、疲労がずしりと染み込んでいく。

このまま眠ってしまったら、この世界から追い出されてしまうだろうか──そんなことを思いながらも、疲労には逆らえない。

ふっ、と意識が飛んだ。

どのくらい飛んでいたのかは分からない。

ぽたり、と唇に冷たい雫が落ちてきたのに驚いて、ハッと飛び起きた。

空は赤いままで、雨が降ってきた気配はない。

ならばこの唇に落ちてきた雫はなんだ、と辺りを見回すと、目の前を黒い蝶が飛んでいった。

「……さっきの?」

黒い蝶はフェイレイの頭上をヒラヒラと飛んで、そしてまた光の指す方向へと飛んでいく。

「俺を導いているのか……」

たった一滴の雫が力を与えてくれた。

フェイレイはまた、よろよろと歩き始める。