Faylay~しあわせの魔法

(もう、駄目、かも)

チラリとそんな考えが浮かんだ瞬間。

ズズンと氷山が割れ、フェイレイは更にその下へ投げ出された。

「うわあああああっ……」

落ちたら終わりだ。もう助からない。

(でも)

細々と続く光の筋は、また途切れていない。

(まだ)

リディルへ繋がっている。

(諦めない!!)

光の先へ手を伸ばす。

するとまた、ぱしん、と手を掴まれた。

ハッとすると、今度はまた暗闇の中にいた。フェイレイは硬い岩盤の上に座り込んでいる。

「また、変わった……」

ぽたり、ぽたりと頭や肩に雫が落ちる。

凍傷を起こしかけた身体にはその雫が酷く鋭いものに感じられ、キュッと眉根を寄せながら辺りを見回す。

どうやら鍾乳洞のようだ。高い天井や洞床にはいくつもの石筍や石柱が連なっている。

眠気の覚めやらぬ眼でそれを眺めていると、目の前をヒラヒラと黒い蝶が飛んでいった。

「蝶……?」 

キラキラと輝く鱗粉を巻き散らかし、飛んでいくのは消えかかった細い光の先。

指輪から伸びる光は、消えかけた蛍光灯のようにチラチラと頼りなげに点滅していたが、やがて綺麗な一本の筋となる。

この道標はフェイレイの心の強さで出来ているらしい。

諦めかければ弱く、強く願えばしっかりと道を指し示す。