Faylay~しあわせの魔法

「私はアレクセイの言うことなど、聞く気はないよ」

カインもきっぱりと言い放った。

「あれほど言っておいたのに、まったく私の言うことを無視して死んでいった者の言うことなどね」

珍しく刺々しい言い方をするカインに、ローズマリーは戸惑いの表情を見せる。

「だから……一番の願いだけを叶えてやればいい」

少しだけ哀しげな笑みを浮かべた後、カインはローズマリーの頬に手を伸ばした。

「フェイレイのやろうとしていることは、私の皇位をかけても成し遂げられないかもしれない。それでも、君はついてきてくれるかい?」

「ええ」

ローズマリーは頷き、カインの首に手を回した。

「ですが、やり遂げようとなさるなら、皇位を捨てるようなことはしてはいけませんわ。絶対的な権力は必要でしょう? 何があっても私が支えますから……今度は私に隠し事などなさならいで、必ず相談してくださいね。置いてけぼりはもう、嫌です」

「……すまなかった、ローズ」

心配をかけまいとしてローズマリーを突き放したことが、彼女を傷つけてしまった。カインもそれを反省していた。

「私ももう、お前を放したりしないよ」

しなだれかかってくるローズマリーを抱きとめ、カインは微笑む。

「……では、まずは祈ろうか。『勇者』と『姫』の帰還を……」

「ええ……」

彼らが帰って来ないのであれば、理想は実現出来そうにもない。

カインとローズマリーは、2人の無事を祈る。