Faylay~しあわせの魔法

フェイレイとの通信を終え、カインはベッドのクッションに身を沈めた。

「お疲れになったでしょう」

ローズマリーが心配そうにカインの顔を覗き込む。

「いや、大丈夫だよ」

言いながら、カインは声を押し殺して笑い出す。

「……カイン?」

「いや……。あれがリディアーナの……何だか分かる気がするよ。あの子は素直で真っ直ぐな子だったから。似たような者に惹かれるのだろうな」

「リディアーナは一時的に記憶を失くしたせいで、貴方の記憶の中の彼女とは少し違っていましたよ?」

「それでも根本的なところは変わらないだろう」

「……まあ、そうですわね」

ローズマリーは少し考え、頷いた。

「今度こそ、しあわせになって欲しいものだ」

カインはそう呟いた後、フッと笑みを消して真顔になった。

「……ローズ。君のしあわせとは?」

「私のですか?」

ローズマリーは赤い瞳を瞬きさせた後、ふわりと笑みを広げた。

「貴方の傍にいること、ですわ」

「何があっても?」

「……例えば?」

「私が民に断罪され、皇位を奪われるようなことになっても」

ローズマリーは目を見開いたが、真剣な顔で頷いた。

「どこにいても、どうなっても、私は貴方の傍にいます。もう離れたりしませんわ」

そうきっぱりと言い放った後、ローズマリーは哀しげに眉を寄せる。

「けれど、そのようなことにはなりませんわ。アレクセイの意志があるのですもの……」