Faylay~しあわせの魔法

カインはしばらくの間黙っていた。

それから目を閉じ、息をつく。

『カイン、大丈夫?』

ローズマリーの気遣わしげな声が聞こえる。

カインも病み上がりだ。回復してきたとはいえ、そう起きてはいられないのだろう。

「陛下、すみません、体調の悪いときに」

『いや、いいんだ。話したいと言ったのは私の方だ』

カインは微笑むと、軽く息をついた。

『……私たちは同種族間でも争いを繰り返してきた。同じ人であっても憎みあうことがある。それが他種族となると更に難しい話だ。だが……終わらない戦争はない。そう信じることも必要か』

「はい」

頷くフェイレイに、カインはしばし黙考した後、笑顔を見せた。

『分かった、努力しよう。そう望む民がいるのなら。ただし、橋渡しする人物が必要だ。それは『勇者』と呼ばれる君に相応しい役割だと思う。……どうだい?』

「はい、喜んで尽力させていただきます! あ、でも……リディルが見つかるまでは……」

『ああ』

カインは微笑んだ。

『フェイレイ。リディアーナを頼むよ。無事に戻るのを、待っている』

「はい」

フェイレイは力強い返事で応えた。

「必ず、一緒に戻ります」