Faylay~しあわせの魔法

『この千年の歴史を見ても、それは不可能だ』

カインははっきりと言い切った。

『先の戦いで、非は人の方にあったのだということが分かった。しかし多くの命が奪われたのはこちらも同じ。ここで私が“魔族と仲良くしよう”と言ったところで、民の反感を買うだけだ。……分かるかな?』

「はい」

フェイレイはしっかりと頷いた。

『今は魔王が消えたことにより、一時的に魔族が力を弱めている。けれど時が経てばまた争いが始まるだろう。それが私たちの繰り返してきた歴史だから』

「それでも、その連鎖を止めることは出来ないでしょうか。もう誰にも哀しい顔をさせたくないんです」

『──では、訊こう。君のご両親はアレクセイに殺された。アレクセイに復讐しようとは思わなかったかい?』

その言葉に心臓を突き刺される思いがした。

フェイレイは小さく頷く。

「……思いました」

『それが大切な人を奪われた者の、嘘偽りなき心だ。……相手が人だろうが魔族だろうが、命を奪う者は憎い。……そうではないかい?』

「それでも、陛下。俺は……アレクセイが憎かったけれど、その命を奪って後悔しました! あの人は心のない殺人鬼ではなかった。本当は優しい人だった。魔族もそうだ。心があるんです。心のある者とは分かり合える。そう、思いたいんです」

『命を奪って、魔族も後悔すると?』

「少なくとも……誰かを愛することの出来る種族です」

フェイレイは魔王を思い出していた。

リディルをずっと護っていた、闇の王を。