Faylay~しあわせの魔法

果たして、ヴァンガードが教えられた通りの言葉を思い浮かべながら脅しをかけているのかは分からないが、『聖母の微笑み攻撃』はフェイレイに効果覿面だったようだ。

完治するまでの間、フェイレイは大人しくしていた。

彼は彼でローズマリーと連絡を取り、何やら相談事をしていたようだけれど。




そしてやっと外出を許可された日。

荷物を持って飛行場へ行くと、タウが飛行艇のエンジンをかけて待っていた。

「退院おめでとう。もう無茶はやめてくれよ」

「はい、ご心配おかけしてすみませんでした!」

フェイレイはタウに頭を下げると、ヴァンガードと一緒に後部座席に乗り込んだ。

「まずはどこへ向かいますか?」

ヴァンガードは地図を広げる。

「南、西はこの二ヶ月、ずっと船長たちが聞き込みをしてくれていました。でも『哀しみの塔』についての情報は得られなかったそうです」

「東はギルドの連中が回ってくれたけど……今のところ」

操縦席に座ったタウも、首を振りながらそう言う。

「北はイライザ姫の騎士たちが回ってくれているそうですが……」

「……知らないよな、誰も」

フェイレイは笑顔で溜息をつく。

ランスロットの母親が『哀しみの塔』を知っていたのは、彼女が精霊だったからなのだろう。

今は精霊たちがいない。

二ヶ月経ってもまだ、精霊たちは眠りについている。手がかりは彼女たちしか知らないというのに……。

八方ふさがりの状態で、フェイレイはある場所に行きたいと思っていた。