ヴァルト軍事施設内にある飛行場に着陸した白い飛行艇のもとへ一直線に走っていくと、飛行艇から青年が飛び降りるのが見えた。

茶色がかった短い黒髪をした青年は、フェイレイが駆け寄ってくるのに気づき、軽く手を振ってゴーグルを取った。

「やあ、フェイレイく……」

「タウさああぁ────ん!!!!」

爽やかな笑みを浮かべたタウに、フェイレイは力いっぱい体当たり……いや、飛びついた。

「どおおおっ!?」

タウはギルドの人間ではあるが、戦士ではなくパイロットである。

その凄まじい体当たりに踏ん張れず、飛行場のアスファルトの上をズササササーッと滑っていった。

「タウさん、無事だったんですね!」

タウの上に乗っかって、フェイレイは嬉しそうに目を輝かせた。

「うん……でも、ちょっと、あんまり無事じゃない……かな?」

ニコニコと微笑んでいるタウの背中は、摩擦によってかなり熱くなっていた……。

「うわああ、すみません!」

慌てて飛び退いてタウを起こしてやるフェイレイを眺め、ヴァンガードは呆れ気味に「何やってるんですか……」と呟く。

しかしその顔には笑みが広がっている。

フェイレイはこういう人だったな、と思いながら。