Faylay~しあわせの魔法

「……やめてくださいよ」

少し照れたヴァンガードは、自分の頭に置かれたフェイレイの手を振り払う。

そんな仕種にまた笑みを浮かべたフェイレイの視界の端に、白いものがキラリと光った。

空を見上げたその瞳に、鳥のようなものが映る。

やがてそれは大きくなっていき、ブウウン、と羽音のような低い音を運んでくる。

「……ヴァン!」

フェイレイの声にヴァンガードも空を見上げる。

白い機影は飛行艇だ。

真っ白な穢れなき信念を示したそれは、セルティアギルド所有のもの。

「タウさんの飛行艇!!」

そう叫びながら、フェイレイは飛行艇の行く先へ向かって走り出した。