哀しみの塔に閉じ込められて嘆いていた姫を、自らの命も顧みず救い出した勇敢なる男。
2人が出会い、手を差し伸べあう絵を見つめてから、像を見上げる。
「あんたのお母さんだよ。……あんたのお母さんが書いたんだ」
ランスロットの力に怯え、彼を父の虐待から助けることも出来なかった母親がこの本の作者だった。
ランスロットの力は、人間の中に突然変異として生まれたものではなかった。
彼の母親は、なんと精霊だったのだ。
今では考えられないことだが、精霊が自分で力を操っていた時代のことだ。そういうこともあったのかもしれない。
けれど他にそんな話は伝わっていないから、当時としても珍しいことだったのだろうというのがアライエル王の見解だ。
人と精霊の契り。
それが周りに被害を及ぼすほどの強大な血を生み出してしまった。
自分の生み出した『悪魔』に怯え、嘆いていたように見えていたランスロットの母親。
それでも彼女はこの本を遺した。
「あんたのお母さんがどんな想いで書いたのかなんて、俺には分からない。だけど俺、この本、凄く好きなんだ」
もしかしたら彼女は、ランスロットに自分の過ちを認め、哀しみの塔に閉じこもったティターニアを助けに行って欲しかったのかもしれない。
その願いが込められているような気がしてならない。
だからこそグリフィノーの血は絶たれることなく、フェイレイまで繋がってきたのではないだろうか。
2人が出会い、手を差し伸べあう絵を見つめてから、像を見上げる。
「あんたのお母さんだよ。……あんたのお母さんが書いたんだ」
ランスロットの力に怯え、彼を父の虐待から助けることも出来なかった母親がこの本の作者だった。
ランスロットの力は、人間の中に突然変異として生まれたものではなかった。
彼の母親は、なんと精霊だったのだ。
今では考えられないことだが、精霊が自分で力を操っていた時代のことだ。そういうこともあったのかもしれない。
けれど他にそんな話は伝わっていないから、当時としても珍しいことだったのだろうというのがアライエル王の見解だ。
人と精霊の契り。
それが周りに被害を及ぼすほどの強大な血を生み出してしまった。
自分の生み出した『悪魔』に怯え、嘆いていたように見えていたランスロットの母親。
それでも彼女はこの本を遺した。
「あんたのお母さんがどんな想いで書いたのかなんて、俺には分からない。だけど俺、この本、凄く好きなんだ」
もしかしたら彼女は、ランスロットに自分の過ちを認め、哀しみの塔に閉じこもったティターニアを助けに行って欲しかったのかもしれない。
その願いが込められているような気がしてならない。
だからこそグリフィノーの血は絶たれることなく、フェイレイまで繋がってきたのではないだろうか。


