Faylay~しあわせの魔法

「……もうひとりにしないって、約束したからね」

掌で優しく包んだ黒い玉を、そっと胸に抱える。

「リディル……?」

フェイレイの声にリディルは顔を上げた。けれどもフェイレイを見ようとはしない。

薄暗い景色の中に溶け込むリディルの、頼りなげな立ち姿に不安が過ぎる。

「リディル……」

「……フェイ」

リディルは更に顔を上げ、燃える朝焼けの空を見上げた。

「私……アルトゥルスと約束したの。もうひとりにしない、って。だから、一緒に……いてあげようと思う」

「……それは、どういう……」

朝焼けからフェイレイへ顔を向けたリディルの瞳には、この空と同じ、燃えるような強い輝きが湛えられていた。

嫌な予感がする。

フェイレイは問いかけてしまったことを後悔した。

──聞きたくない。

それは本能で感じる想いだった。

「やっぱり私、フェイと出逢えたことが、一番、しあわせだったよ……」

強い輝きを放つ翡翠の瞳から、宝石のように輝く涙が零れ落ちた。

「ごめんね。もう……フェイと一緒には、いられない……」