「リディアーナ!!」
同時に自由になった魔王が、リディルを助けようと床を蹴る。それでも間に合う距離ではない。
空を切って振り下ろされる剣に、遠くから見守っていたヴァンガード、そしてローズマリーが瓦礫の後ろから飛び出した。しかし彼らもとても手の届く距離ではない。
一番止められる位置にいるリディルは、自らの意志でフェイレイを止めることを放棄した。
今、この剣を止められることが出来るのは。
フェイレイだけだ。
「うああああああああっ!!」
全力で自分を止める。
『無駄だよ』
そう囁くランスロットの声がした。
それでも──諦めない。
ズウウウン、と重低音がして、一直線に床に亀裂が走った。
砕けて飛び散った床の破片が、フェイレイの赤い髪とリディルのハニーブラウンの髪の上からパラパラと降りかかる。
「フェイレイ、くん……」
衝撃によって生まれた強い風に煽られ、ローズマリーは足を止める。ヴァンガードも目を見開き、息を止めたまま事の成り行きを見ていた。
両手で柄を持ち、思い切り剣を振り落としたフェイレイは、蹲るように背を丸めている。
その前に。
左腕のドレスの袖をビリビリに破られ、血が滲んで真っ赤になった腕を剥き出しにして立つリディルがいた。
同時に自由になった魔王が、リディルを助けようと床を蹴る。それでも間に合う距離ではない。
空を切って振り下ろされる剣に、遠くから見守っていたヴァンガード、そしてローズマリーが瓦礫の後ろから飛び出した。しかし彼らもとても手の届く距離ではない。
一番止められる位置にいるリディルは、自らの意志でフェイレイを止めることを放棄した。
今、この剣を止められることが出来るのは。
フェイレイだけだ。
「うああああああああっ!!」
全力で自分を止める。
『無駄だよ』
そう囁くランスロットの声がした。
それでも──諦めない。
ズウウウン、と重低音がして、一直線に床に亀裂が走った。
砕けて飛び散った床の破片が、フェイレイの赤い髪とリディルのハニーブラウンの髪の上からパラパラと降りかかる。
「フェイレイ、くん……」
衝撃によって生まれた強い風に煽られ、ローズマリーは足を止める。ヴァンガードも目を見開き、息を止めたまま事の成り行きを見ていた。
両手で柄を持ち、思い切り剣を振り落としたフェイレイは、蹲るように背を丸めている。
その前に。
左腕のドレスの袖をビリビリに破られ、血が滲んで真っ赤になった腕を剥き出しにして立つリディルがいた。


