Faylay~しあわせの魔法

それを見ていたリディルが、床に手をついてそこに白い光を這わせた。一瞬のうちに床全体に広がったそれは、フェイレイの足裏を床に縫いとめた。

「ローズさん、今のうちに!」

リディルの声にローズマリーは頷き、ヴァンガードの手を引いて瓦礫の山を飛び越え、フェイレイと距離を取る。

その途中、チラリと振り返って魔王となっているカインに視線を送った。しかし彼の視線はフェイレイへ向いている。

「カイン……」

来てはみたものの、ローズマリーにはどうすればカインを取り戻せるのか、まったく分からなかった。

アレクセイの願いのためにも、何としてでもカインを助けたいのだが……。どうしたら良いのか。

おまけに状況が良く分からなかった。

少し距離を置いて、その元凶であるフェイレイを眺める。

動かなくなった足にほっとした顔を見せた彼は、左腕をスッと持ち上げた。その軌道の先にあるものは──。

「足を!」

斬り落とす気だ!

誰もがハッと息を呑んだ。

「フェイ!」

リディルが風を巻き起こし、見えない鎖で左腕を縛り上げた。

「っく……」

それを振りほどこうと、フェイレイの腕が動く。それは彼の意志ではなく、ランスロットの意志だ。

更に全身を風の鎖で封じる。

だが反発する力がとてつもなく大きい。抑えるリディルの身体が小刻みに震えだす。

「いいんだ、リディル! 足くらい斬り落として! でないと止められないっ!」

まったく言うことを聞かない身体。仲間たちを傷つけるくらいなら、腕や足くらい、斬り落としたって構わない。

そんなフェイレイの叫びに、リディルはブンブンと首を横に振った。

「そんなこと、させないっ……」