「大丈夫だって! 何とか無事に帰れるんだから、もっと笑ってろよ!」
ヴァンガードを落ち込ませないために明るくそう言うフェイレイだったが、ふと、振り返った。
ぴたん、ぴたんと落ちてくる水滴の音に混じり、何かが聞こえたような気がした。そしてそれは気のせいではなく。
ドラゴンを覆っていた氷にパキパキと亀裂が走り、一気に崩れた。
「まさか!」
思わずヴァンガードは声を上げた。
氷の女王によって氷塊にされていたドラゴンが息を吹き返してしまったのだ。
氷塊を吹き飛ばし、フェイレイたちを視界に入れたドラゴンは、地の底から響くような恐ろしい咆哮を上げた。
「ヤバい」
フェイレイは2人を背負いなおして走り出したが、自分も手負いのためスピードが出せない。
ズンズンと腹の底に響いてくる振動に、フェイレイは覚悟を決めた。
「ヴァン、リディルとここで待ってろ」
「ちょ、フェイレイさん!」
ヴァンガードを背中から下ろし、気を失ったままのリディルを預ける。
「無理です! アランの女王にだって、倒しきれなかったんです、それに貴方は利き腕を!」
「……ヴァン」
フェイレイはヴァンガードの肩に手を置いた。
「お前、言ったよな。逃げるわけにはいかないんだって。……俺もそうだ」
にっこりと笑みを見せると、フェイレイは左手で剣を引き抜いた。そしてドラゴンを振り返る。
ヴァンガードを落ち込ませないために明るくそう言うフェイレイだったが、ふと、振り返った。
ぴたん、ぴたんと落ちてくる水滴の音に混じり、何かが聞こえたような気がした。そしてそれは気のせいではなく。
ドラゴンを覆っていた氷にパキパキと亀裂が走り、一気に崩れた。
「まさか!」
思わずヴァンガードは声を上げた。
氷の女王によって氷塊にされていたドラゴンが息を吹き返してしまったのだ。
氷塊を吹き飛ばし、フェイレイたちを視界に入れたドラゴンは、地の底から響くような恐ろしい咆哮を上げた。
「ヤバい」
フェイレイは2人を背負いなおして走り出したが、自分も手負いのためスピードが出せない。
ズンズンと腹の底に響いてくる振動に、フェイレイは覚悟を決めた。
「ヴァン、リディルとここで待ってろ」
「ちょ、フェイレイさん!」
ヴァンガードを背中から下ろし、気を失ったままのリディルを預ける。
「無理です! アランの女王にだって、倒しきれなかったんです、それに貴方は利き腕を!」
「……ヴァン」
フェイレイはヴァンガードの肩に手を置いた。
「お前、言ったよな。逃げるわけにはいかないんだって。……俺もそうだ」
にっこりと笑みを見せると、フェイレイは左手で剣を引き抜いた。そしてドラゴンを振り返る。


