Faylay~しあわせの魔法

それを鼻先に掲げた剣の鍔で軽々と受け止める。

ローズマリーはギリ、と歯噛みすると、拳と鍔を合わせたまま足を蹴り上げた。それを左の掌で受け止め、アレクセイは一言。

「お前が私に勝てたことがあったか?」

「今、勝つ!」

空気をも切り裂くスピードで繰り出される拳の連打。そのすべてをアレクセイは紙一重でかわす。

拳に纏った気の籠手は、針のように鋭くアレクセイの皮膚を突き刺し、無数の傷を負わせた。

だがそのどれもが致命傷とはならず、ただローズマリーの体力を消耗させていく。

「やめろ2人とも!」

フェイレイが間に割って入ろうか迷っているうちに、ローズマリーがアレクセイの剣の鍔で肩を強打され、一瞬だけ片膝をついた。

「ローズさん!」

ヴァンガードは魔銃を構えた。

しかしそこで回廊の柱が崩れ、天井が落ちてきた。それから逃げるように雨の降る庭園へと転がり出る。

距離を取ってもなお飛んでくる気の斬撃に身を打たれながら、もう一度魔銃を構える。

肉眼でその動きを捉えることは困難なほどのスピードで展開される戦闘に、本来ならば手出しすることは赦されない。

それでも、ヴァンガードは絶妙のタイミングでトリガーを引いた。

アレクセイの剣がローズマリーの頭を捉えたその瞬間に、防壁弾が2人の間に炸裂した。

淡い光が走り、アレクセイの剣が弾かれる。