Faylay~しあわせの魔法

爆発するように高められ放出される覇気に、至近距離にいたローズマリーは一歩後退させられた。

その彼女の腕を引っ張り、フェイレイはローズマリーを背後へ庇う。

その更に後ろでヴァンガードが腕を掲げて身を低くした。兵士たちも同様に、雷撃でも受けたかのような衝撃を受けて動けなくなる。

「アレクセイ!」

フェイレイの後ろから叫ぶローズマリー。

「私は皇家の騎士。そして貴女は……反逆者だ」

スラリと長剣を抜き、アレクセイは構えた。

「アレクセイ、止めなさい!」

ローズマリーの叫びが、吹き飛ぶ雨粒の中に消える。

今にも飛び掛ってきそうなアレクセイに、フェイレイは剣の柄に手をやったものの、抜けないでいた。

後ろにいるローズマリーからは怒りを感じるものの、それでもまだ迷いが感じられる。

フェイレイもそうだ。

求めるものは同じはずなのに、どうして剣を交えなければならないのか。何とかして一緒に行くことは出来ないのか。

その迷いを断ち切らせるように、アレクセイが剣を振るった。

ゴッ、と気の渦がフェイレイたち、そして兵士たちをも巻き込んで、回廊の柱を次々と破壊していく。

「アレクセイ!」

祈りにも似た叫び声を上げるローズマリーは、フェイレイの後ろから飛び出し、彼の懐に飛び込んだ。

「引き摺ってでも連れて行く!」

手加減なしの、本気の拳がアレクセイに襲い掛かった。