Faylay~しあわせの魔法

兵士の案内で城内を早足に進み、雨の降る暗い庭園を臨む長い回廊へと出た。

武器を手に整列する兵士たちは、一様に戸惑いの表情を浮かべながらフェイレイたちを見送る。

緊張の面持ちでそこを進んでいった先に。

黒衣の騎士が静かに佇んでいた。

「アレクセイ……」

ローズマリーは一瞬足を止めた後、つかつかと彼に歩み寄った。

「アレクセイ、リディルはどこです? カインは?」

「……奥の宮です」

聞くなり、ローズマリーはアレクセイの横を通り過ぎようとした。だが、その前にアレクセイが立ちはだかる。

「何の真似です」

睨みつけると、アレクセイは冷笑を浮かべた。

「ここを通すわけには参りません、皇后陛下」

「貴方、いつまでそんなことを! 倒すべき相手は解っているはずです。私と共に参りなさい、元帥!」

睨みあう2人の後ろから、フェイレイが言葉をかける。

「アレクセイ、あんたも惑星王を助けたいんだろ? 俺たちもそうだ。だからこんな風に睨みあうのはやめよう。一緒に行こう!」

志を同じくする者同士、同じ道を行けるはずだとフェイレイは訴えかけた。

それに対し、アレクセイは唇の端を上げて、言った。

「私と貴方たちでは、同じであって、同じではないのですよ……」

フェイレイやローズマリーたちと一緒にいって、それで魔王が倒せるのならばそうしただろう。

だが、無理だ。

自分と同じ力量の者がどれだけ集まっても、あの魔王を倒すことは出来ない。それが分かっていたからこそ、選んだ道だ。

──もう引き返すことなど、出来ない。