「父さん……母さんっ……」
真っ赤に腫れあがる拳を再び球体にぶつけ、リディルは崩れ落ちた。
球体の底に突っ伏し、フェイレイに謝り続ける。
貴方の大切な人を、奪ってしまってごめんなさい。
こんなときに傍にいられなくて、ごめんなさい──。
リディルの嗚咽を聞きながら、アレクセイは足早に歩を進める。
「やはり貴女では止められなかった」
ずっと魔王を説得しようとしていたリディル。魔王が愛でる唯一の存在の言うことならば、もしかしたら聞き入れるのではと期待を持ったことはあった。
だがやはり、魔王の決意はそれでも揺るがない。
彼を収めるには、正面から力でぶつかるしかないのだ。
再び首から下げられた鎖を指に絡め、赤髪の少年の顔を思い浮かべる。
その影に、カインと、そしてローズマリーの顔がちらついた。
「……必ず」
護ってみせる。
そう呟き、兵士たちの立ち入り禁止区域である皇族の住まう宮から、ざあざあと降りしきる雨の音が聞こえる、広い庭園を臨む回廊まで辿り着く。
衛兵たちが両脇にズラリと並んだそこを進んでいくと、その向こうから転がるように駆けて来る兵士の姿が見えた。
「ご報告いたします元帥! たった今、南門から敵兵が侵入しました!」
その報告を受けたアレクセイは、妖艶な笑みを浮かべた。
「ではここへ誘き寄せろ。ヤツラは私が倒す。お前たちは決して手を出すな」
真っ赤に腫れあがる拳を再び球体にぶつけ、リディルは崩れ落ちた。
球体の底に突っ伏し、フェイレイに謝り続ける。
貴方の大切な人を、奪ってしまってごめんなさい。
こんなときに傍にいられなくて、ごめんなさい──。
リディルの嗚咽を聞きながら、アレクセイは足早に歩を進める。
「やはり貴女では止められなかった」
ずっと魔王を説得しようとしていたリディル。魔王が愛でる唯一の存在の言うことならば、もしかしたら聞き入れるのではと期待を持ったことはあった。
だがやはり、魔王の決意はそれでも揺るがない。
彼を収めるには、正面から力でぶつかるしかないのだ。
再び首から下げられた鎖を指に絡め、赤髪の少年の顔を思い浮かべる。
その影に、カインと、そしてローズマリーの顔がちらついた。
「……必ず」
護ってみせる。
そう呟き、兵士たちの立ち入り禁止区域である皇族の住まう宮から、ざあざあと降りしきる雨の音が聞こえる、広い庭園を臨む回廊まで辿り着く。
衛兵たちが両脇にズラリと並んだそこを進んでいくと、その向こうから転がるように駆けて来る兵士の姿が見えた。
「ご報告いたします元帥! たった今、南門から敵兵が侵入しました!」
その報告を受けたアレクセイは、妖艶な笑みを浮かべた。
「ではここへ誘き寄せろ。ヤツラは私が倒す。お前たちは決して手を出すな」


